始まりの旋律

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と、声をかけられた。 どうやら僕が頼んだラーメンができたらしい。 かかった時間は3分ちょっと。 学生のお昼休みでもゆっくりと食べることができるのは、この早さのおかげであろう。 「ありがとうございます」 そう言って僕はラーメンが乗ったトレーを持ち、鈴音がいる席へ向かった。 「先に食べてていいって言っただろ?」 後ろから鈴音に声をかけた。 「でもさ、一緒に食べ始めたいじゃん。一緒のほうが美味しいでしょ?」 鈴音はにこにこ顔で振り返りながら言った。 僕は鈴音の隣に座りながら 「確かにそうかもな。」 と返事をして、そのあと続けて 「鈴音、今の笑顔は普通だけど、さっきのは酷かったぞ」 と言った。 一応伝えておくことにした、あまりに酷かったので。 「え?なんのこと?」 鈴音はまったくわからないといった様子でこちらを見ている。自分では気付いていないのであろう。いや、気付いていてあの顔なら、もっとどうにかできるはずだ。 「そのBランチのデザート」 「イチゴのこと?」
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