始まりの旋律

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「そう、イチゴのこと。好物で楽しみなのはわかるが、さっきイチゴを見てた鈴音の顔は…」 そこで一度言葉を切ると、すぐに鈴音が 「私どんな顔してた?おかしかった?」 と言った。 急に気になり始めたらしく、とても焦った様子で聞いてきた。 僕はそれを 「うん。とてもおかしくて、一言で言うと変だった」 と、止めをさしておいた。 その言葉を聞いた鈴音の顔は、さっきとは180度変わり呆然としていた。 「大丈夫、俺が見た限りでは誰も鈴音のこと見てなかったから」 流石に可哀相であったので一応のフォロー。 それだけで安心したのか 「ホントに?ならよかったよぉ~」 すぐに笑顔に戻って胸を撫で下ろしていた。 「単純なやつ」 と鈴音に聞こえないくらい小さな声で呟いた。 本気でそう思った。 それと、僕に見られるのは平気なのであろうか、という疑問も残った。 そんな些細な疑問はいつものことなので 「じゃあご飯も冷めちゃうから、そろそろ頂くとしますか」 昼食を食べることにする。 「うん、食べよ食べよ」
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