始まりの旋律

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「絶対音感って知ってる?」 いつも当たり前のように僕に質問をしてくる。 何故いつも僕なのか疑問に思う。 小さなころから一緒に遊んだりしたし 小、中学校ともに仲は良かった。 なんの偶然か高校まで一緒になってしまった古くからの友人(いや幼なじみかな)に いつものように答える。 「知ってるに決まってるだろ。 自分の聴いた音がドレミのどの音なのかがわかるってやつだろ?」 「さっすが物知り~。 奏ちゃんはホントなんでも知ってるよねぇ~」 「いや、これくらいは誰でも知ってるだろ」 実際、絶対音感というのは世間でも多くの人に知られているはずだ。 いくつかの音が重なった和音がわかる人もいるらしいし。 音楽のプロならばほとんどの人が持っているだろう能力だ。 「で、それがどうかしたのか?」 「この学校凄いんだよ。なんと全校生徒655人のおおよそ半分、320人以上が絶対音感なんだって」 「………それ、ホントか?」 「わかんない。ただの噂だから。でも、ホントならこれって凄いことだよね、奏ちゃん」 「まぁ、ホントならな…」
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