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「はい。奏ちゃ…、金澤君が打楽器の方がいい、って言ってくれたんで」
先生に対して奏ちゃんって使うのはやめてくれ。
という僕の視線の意味が通じたのか、鈴音は途中で僕の名前をしっかりと苗字に言い直していた。
「そう。あまり楽器は得意じゃないの?」
と先生は鈴音に聞く。
「何もできないんです」
と鈴音は恥ずかしそうに言っていた。
「小学生のときにやったらリコーダーとかも全然下手で。だからリズムだけでできる打楽器がいいよ、って金澤君が言ってくれて」
「そうなの。確かにあまり得意じゃないなら打楽器の方がいいわね」
と先生も納得してくれた。
「でも、これは持ち帰るのは大変だからね。たまに放課後来て練習する?」
と先生が提案してくれた。
恐らく鈴音は持ち帰る気満々だったであろう。
「あ、はい。じゃあ時間があるときに来ますね。来るときは、どうすればいいですか?」
一瞬返事が詰まったのは、持ち帰ろうとしてた証拠だろう。
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