始まりの旋律

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階段を下り終えた僕達は、昇降口で上履きから靴に履き替える。 校門から学校を出て、家に帰る道を歩く。 僕も鈴音も、家からこの高校までの距離はあまりない。 自転車での通学が許可されなかったため、いつも歩きで通学している。 校門を出てしばらく歩く。 その間も何か話していた気もするが、やはりあまり覚えていない。 やがて僕と鈴音が別れる地点にたどり着き 「奏ちゃん、また明日ね」 と鈴音が言って、自分の家がある方へ向かって歩いていく。 「おう、また明日な」 僕はそう言って自分の家に向かって歩く。 しばらくすると僕は自分の家に着いた。 鍵を開け 「ただいま」 と言いながら、家に入る。 家族はまだ誰も帰って来ていないようだった。 僕は、二階にある自分の部屋に向かい、今日借りたフルートの手入れをすることにした。 ケースを開けてフルートを隅々まで見てみたが、金属部分で錆びているところはなく、木で出来た部分もとても綺麗であった。
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