始まりの旋律

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「嘘、嘘。わかってるよ。奏ちゃんは他にも女の子のお友達がたっくさんいるもんねぇ」 「はいはい」 僕は中学時代は吹奏楽部だった。 そのため男友達よりは女友達のほうが多い。 「普通の中学で吹奏楽やればそうなるだろ」 「確かにそうだね」 ニコッと笑いならが鈴音が答える。 「わかってるくせにわざとらしく言うな」 「ごめんごめん。」 普通の中学校では吹奏楽部は女の子の比率のほうが高い。 よほど有名で音楽に力をいれている学校でもないかぎり。 「他にも理由があるんだよ」 教室を出るときに鈴音はそう言った。 「他の理由って?」 僕は返事をしながら階段へ向かって歩いていた。 「奏ちゃんとご飯を食べたい理由のことだよ」 僕と一緒に昼食をとることに一体どんな理由があるのか疑問に思っていると 「さっきの絶対音感の噂、その噂と関係あるのかわからないけどね」 今、階段の目の前。 この階段を降り、右に向かうと学食がある。 そんな階段の前でいつの間にか前に来ていた鈴音がその場で歩みを止めていた。
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