悲しきメロディー

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教室にあるロッカーにいつもならある鞄もなかったので、恐らく帰った、あるいは、学校内で何か用事があったのだろう。 いない人のことを考えていても仕方がないので、僕は一人で音楽室へと向かうことにした。 ロッカーから鞄をとり、帰り支度をして向かう。 一人で歩く音楽室までの道のりは、鈴音と歩くときと違い、とても長く感じた。 実際に長い道のりではあるが。 そんな長い道のりも終わり、音楽室の前。 ノックをしてみたが返事はなかった。 鍵は開いていたため、「失礼します」と言って中へ入ってみる。 音楽室の中に先生の姿はなかった。 不在なのだろうか? 鈴音がいない今、僕の目的は先生への質問だけとなっていた。 先生が不在ならば、音楽室に居る意味は何もない。 ここならば、このフルートに関する物もありそうな気はしたが、勝手に色々と漁るのは流石にまずい。 誰もいない音楽室、僕はここから立ち去ろうとして、ドアへと手を伸ばす。 そのとき、奥の方から『ガタッ』と音がした。 僕は振り返り周りを見るが、物が落ちた様子はない。
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