始まりの旋律

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真ん中の席までたどり着くには、人がちょっと多い気もしたが、他に二人並んで座れる席がないから仕方ないであろう。 「うん、いいよ。先にご飯買ってくるね」 「わかった、じゃあ俺は席とっとくから」 僕は先程指差した席にむかう 「ありがと、すぐ行くから」 そして、鈴音は昼食を買いに行った。 僕は昼食を始めている生徒の後ろを歩いて席に着く。 やがて、鈴音が今買った昼食を持ちながら、こちらに向かってきた。 「じゃあ俺も何か買ってくる」 鈴音に向かってそう言い、僕も食券を買いに行く。 「どうぞぉ~」 鈴音は間延びしたような声で返事をした。 なんでそんな返事なのか気になり、鈴音をよく見てみると、返事をしたけれどこちらはまったくみていない。 見ているのは自分の手元にある学食のトレー。 成る程。 「鈴音、大好きなイチゴばっかり見てると転ぶぞ」 鈴音が学食で購入したのは、大好きなイチゴがデザートとなっているBランチのようだ。
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