14人が本棚に入れています
本棚に追加
そもそも学年が違い、部活もしていない二人に出会う機会なんてなかった。
接点といえば、お互い割と校内で名が知れていること。
葵は入学当時から成績がトップだったし、高校生にしては落ち着いた雰囲気があり、教師にも生徒にも慕われていた。
一方雅は、成績こそいいものの、人とあんまり喋らないし、嫌なことは嫌とはっきりいうし、一見疎まれそうな存在である。それでも彼女を嫌うものがあまりいないのは、いざという時の機転の早さや、行動力を持っているからだった。
雅はどうかはわからないが、葵は雅の存在くらいは知っていて、しかしこれといって気にするわけでもなかった。
だからあの日、葵が珍しく寝坊なんてしなければ、そのまま関わることなく時は過ぎていたかもしれない。
最初のコメントを投稿しよう!