雅と葵と初めまして

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九月一日、ジリジリと肌に突き刺さるような日差しの中、ニ学期が始まった。 いつもより30分も遅刻してしまった。寝坊なんて言い訳にもはならず、新学期早々の失態に落胆していた。 学校に着いた時にはすでに始業式が始まっており、教室には誰もいなかった。鞄だけ机に置き、再び下足に履きかえて運動場へとむかった。 遅刻してきたのは葵だけではなく、数人の生徒が走ってクラスの最後尾につくのが見え、葵も同じようにした。いつもは学級委員のため、列の先頭に並ぶので、最後尾で並ぶのは初めてだった。 30度を超える炎天下の中、校長の長い話を聞いていると、全身から汗が絶え間無く噴き出し、ワイシャツの背中には汗がジワリと滲んでいく。 速く終わらないものかと考えていたら、隣の列の前の方から女子生徒が一人、後ろへと向かって歩いてきた。 あ、あの人知ってる。 確か麻生…、先輩だ――
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