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授業終了のチャイムを聞いて5分、雅はいつもの場所で手元の写真集に目を通す。
月をメインにしたそれは、恐ろしいほどに幻想的で美しく、自分と比べものにならない程の存在感に圧倒され、雅は写真の中に意識を引きずり込まれていた。
『雅さんにそっくりですね。』
不意に後ろから声が掛かり、意識が現実へと戻って来る。別に振り返らなくても声の主はわかっているので、雅はあえてそのまま話す。
『どこが?』
『人を寄せつけない所です。』
質問の答えに答えながら、声の主は雅の隣の椅子に腰をかけた。
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