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外に出ると、今日は半月が空に浮かぶ。隣では、雅がたまに月を見上げながらあるいている。
先程のように月に酔いしれている様子はない。
何を考えているのだろう…――
答えるかのように彼女が呟いた。
『葵、月に似てる。』
葵は少し驚くと同時に、うれしくなった。自分の事を考えていてくれたのかと。
それでもなんで自分が月に似ているのか検討もつかず、今度は葵が尋ねる。
『どこがですか?』
『いつもついてくるトコ。』
そんなストーカーみたいな言い方…。
少しガクッときたが、それはそれでいいのかもしれない。本当に雅がそれを嫌がるならば、はっきりと言われてるはずだ。
それでもこうして側にいることを許してくれるのは…
少しは期待してもいいということだろうか――
少し罰の悪そうな顔をしてこちらを見上げる雅に、葵はうれしさを隠せずに優しく笑った。
『どこまでもついていきますよ、お姫様。』
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