夢のかけら

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美しい女だった。 着物を着て、髪を結い上げている。 庭を臨む部屋で子守唄を歌っている。 穏やかに、優しく。 腕の中の赤子は乳をねぶりながら、安らかに眠っている。 それを見つめる女の顔。 いつか見た、幸せの原風景。 子守唄が、高く低く、遠くに聞こえる。 なんて、美しい光景。 愛おしい。 愛おしいと女は唄う。
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