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何処に建つのか、何時に建つのか分からない、巨大な建造物があった。
その建造物の入口、ホールに当たる空間に、横に長いカウンターがあった。
中世的なーー恐らく大理石であろうーー石造りの外見に合った、木製のカウンターだ。
その大きなカウンターに似合わない小さな少女が、一人作業をしていた。
「えっと、この本は3階の23番棚で、こっちは2階の19番棚……」
その傍らに、ゆっくりと歩み寄ってきた白いジャケットを着た若い男。
高校生前後であろう顔付きの彼は、カウンター越しに喋りだす。
「相変わらず疲れねぇのか?本の仕訳。まだこんなに残ってるってのに」
と、少女の後ろを指差す。そこには、山となった本が無造作に積まれていた。恐らく、ライオンや熊ならば押し潰せてしまうであろう数だ。
「そう思うなら手伝ってください。いくら私が天才で有能だからって、限度があります」
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