63人が本棚に入れています
本棚に追加
「嫌だね。何故なら俺は、
自由で気ままな男だから」
「自由で気ままな男だから」
少年の言葉の後半、二人の声が重なる。
「『蒼髪のルナ』第3巻35ページ5行目初出。リックの口癖ですね」
「わぉスゲ、ピッタリ。伊達に図書館の館長はやってねぇな、コント」
その少女ーーコントはヤレヤレと両手を挙げる。どうやら手伝う気が無いのは把握したようだ。
再び作業に戻るコントは、不機嫌に少年に訪ねる。
「で、読人?次の『物語』にはいつ行くんです?かれこれ3日はここに滞在していますが……」
今度は読人と呼ばれた少年が両手を挙げる。
「わーってるよ、腹を満たしたりしてただけさ。すぐにでも行くよ」
「そうですか。もう皆さんはバリバリ動いているんですからね、貴方も働いて……」
と、コントは視点を目の前の本からカウンターの向こうへと移すが、そこには読人は無かった。すぐさま辺りを見回すと、ホール横の廊下に全力疾走する彼の姿が見られた。
「ちょっと!逃げるんじゃありません!話はまだ終わってませんよー!」
最初のコメントを投稿しよう!