第一段落

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誰もいない、夜の校舎。 既に教師達も帰ったであろう時間帯だからか、不気味な程の静寂に包まれていた。 「はっ、はぁ、っぐ、うっ」 その暗闇の中を、少年が必死に走る。 既に廊下の蛍光灯は全て消え、辺りを照らすのは月の淡い光のみだった。 「はっ、はぁ、なんで……!」 足音は、二つ。 ひとつは少年自身のもの。そしてもうひとつは、彼を追いかける赤い服の侵入者のもの。 「やだっ…ボクは…」 少年の足は既に震え始めていた。 それは疲労のせいでもあったが、一番の原因は「恐怖」であった。
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