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誰もいない、夜の校舎。
既に教師達も帰ったであろう時間帯だからか、不気味な程の静寂に包まれていた。
「はっ、はぁ、っぐ、うっ」
その暗闇の中を、少年が必死に走る。
既に廊下の蛍光灯は全て消え、辺りを照らすのは月の淡い光のみだった。
「はっ、はぁ、なんで……!」
足音は、二つ。
ひとつは少年自身のもの。そしてもうひとつは、彼を追いかける赤い服の侵入者のもの。
「やだっ…ボクは…」
少年の足は既に震え始めていた。
それは疲労のせいでもあったが、一番の原因は「恐怖」であった。
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