第一段落

3/21
前へ
/67ページ
次へ
「わっ……!」 不意に、少年の体が前に倒れた。 タイルの地面に胸を叩きつけ、その痛みが襲う。しかし、その痛みに構う余裕は無かった。少年は急いで足を立て、再び逃げようとする。 しかし、それは叶わなかった。足が狂った笑いのようにに震え、立つことすら出来なかったからだ。 少年は再び前に倒れる。 「や……やだっ……」 もはや彼は、ほふくのような姿勢で逃げるしかなかった。 「やっと追い付いた……」 声。 嬉しそうだが、殺意に満ちた声。 少年が振り向くと、赤い服を着た侵入者が、彼の目の前にいた。 肩を上下に揺らしながらも、その手にある物はしっかりと握っていた。
/67ページ

最初のコメントを投稿しよう!

63人が本棚に入れています
本棚に追加