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「わっ……!」
不意に、少年の体が前に倒れた。
タイルの地面に胸を叩きつけ、その痛みが襲う。しかし、その痛みに構う余裕は無かった。少年は急いで足を立て、再び逃げようとする。
しかし、それは叶わなかった。足が狂った笑いのようにに震え、立つことすら出来なかったからだ。
少年は再び前に倒れる。
「や……やだっ……」
もはや彼は、ほふくのような姿勢で逃げるしかなかった。
「やっと追い付いた……」
声。
嬉しそうだが、殺意に満ちた声。
少年が振り向くと、赤い服を着た侵入者が、彼の目の前にいた。
肩を上下に揺らしながらも、その手にある物はしっかりと握っていた。
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