信頼の国~イリア~

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それから約一時間後 アキラは朝食を済ませたマリアに踏まれ再び目を覚ました 「お前はもう少し手加減というものを知るべきだ」 「黙りなさい変態潰すわよ」 二度寝から目覚めてアキラが最初発した言葉はマリアの脅しにかき消された 「くそ…貧乳め…」 「なにか言ったかしら…」 神に与えられた身体能力は視力や聴力も例外ではないようでアキラの小さな呟きを的確に聞き取っていた 「なんでもありません!!」 その事に気付き人類の限界を超えた速度で土下座をする 「わかればよろしい」 マリアの握っていた拳はとかれたが黒い笑みは消えていなかった 「…さっさと飯に…ってなんだこれ!?」 朝食の缶詰めを取りだそうとした時 アキラは異変に気付いた 「缶詰めとぬいぐるみが無い…」 アキラはとっさにマリアを見る が視線の先にはただ草原が広がっているだけでマリアの姿が見当たらない 「…なにごと?」 アキラがあらゆる事を考えているなか アキラの強化された視力が数百メートル先の岩場からこちらの様子を伺っている女の子 まぁつまりマリアの姿を捉えた 「あいつ…なにやってんだ…」 とりあえず荷物を掴み急いでマリアのもとに向かう マリアはアキラが向かってきた事に気付いたようだが動かない そしてアキラが岩場にたどり着いた瞬間見たものは正坐で待つマリアの姿だった 「さて…詳しく話してもらおうかマリアちゃん?」 先ほどとは逆に黒い笑みを浮かべたアキラがマリアを見下ろす 「いや…その…可愛かったから…」 「ぬいぐるみはいい 缶詰めは?」 黒い笑みを浮かべたままアキラは口を開く 「あの…ちょっとやけ食いで…」 「まだ10個くらいあったけど…?」 「やけ食いで…」 「一人で…?」 「はい…」 マリアの尋問を続ける中アキラは小さな声を聞いた 「キュン」 それは小さな鳴き声だった 「あ…ダメッ」 マリアが岩の影に叫ぶ 「アソコか…?」 マリアの視線の先にアキラが歩を進めた瞬間 マリアは絶望的な顔を見せた 「キュン」 再び声が それはやはりマリアの見た岩の影からだった 「…これは」 アキラが見たものは小さな白い犬だった 「犬…?」 マリアを見ると目を閉じて顔を背けている 「説明してくれるよな?」 アキラは優しく訪ねた
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