462人が本棚に入れています
本棚に追加
正直に言う
俺はその時本当に恐ろしい物の片鱗を…
冗談やパロディ抜きで恐ろしい物の片鱗を見た
目の前に突き出された花が成長していったんだ
今目の前で無造作に摘み取られたただけの花がだ
その成長は花が開くだとか葉が枯れるなんていう手品レベルのものではない
簡潔に言うなら巨大化だ
風船のように膨れていくとでも言えばイメージしやすいだろうか
「質量保存とか無視しすぎじゃないか…?」
驚きすぎてズレた感想しかでてこない
「まぁ神の力をもってすればこんなものだよ」
「他にはなにかできるの?」
たぶんだけどこの時の俺は子供のように目を輝かせてたと思う
「まぁできるが…
今はなんで君の前に私がいて
ここに誰もいないか話すのが先だね」
びっくりしすぎて忘れてた
「まぁ簡単に話すけど
君は死んだんだ」
死んだんだ…?
なんで?
どうして?
友達もいて大学生活も楽しくて持病もなくてバイトも疲れはするが楽しくて夢もあって
「混乱しているね」
当然だと言いたいが声がでない
今日は新しい発見がたくさんあるなとどうでもいい事を考える余裕はでてきたが相変わらず言葉はでない
「君は義母に殺された」
あのばばぁが…
「君は父親と二人暮らしだったがある日お父さんは急に再婚したね」
確かに親父は俺に
…いや、俺やばあちゃん達に何も言わずに再婚した
「で、再婚相手と君はうまくいっていなかった」
まさにその通りだ
「結果君は殺された」
「まて」
ようやく声がでた
「なんでうまくいっていなかったからって殺されなきゃいけない」
「保険金目当て
君は義母からしたら邪魔だったんだよ
君がいたら自由に行動できず
お父さんも君のお母さんを忘れられず
ただ邪魔だったんだよ」
もう言葉どころか考えることすら無理だ
「で、君はここに来た
ここは死後裁判所とでもいうのかな
死ぬべきではなかった人が
…死ぬ予定じゃなかった人って言った方があってるかな…ここに来る」
最初のコメントを投稿しよう!