……エース！！～sub ace～

あの日あの時あの瞬間

　――――これは喜ぶべきなのか？ それともやはりマズい状況なのか？ ……いや、マズい状況だろう。

「ふぃー、やっとスッキリした～。げ、もう試合すすんじゃってんじゃん！」

　芳川がやっとトイレから帰ってきた。三回裏までずっとトイレってどういうことだ。

「お、一哉達いたいた。どうよ、試合は？ いや～なかなかウ(ﾋﾟｰ)が出なくt――っおい！ ウチの投手が晋ってどういうことだ！？」

　芳川がバックスクリーンの電光掲示板を見て叫ぶ。大声であんなこと言うなんて恥ずかしいったらありゃしない。

「おぉ……芳川か。いやな、なんか偶然にしては腑に落ちないんだがな、二回表に四谷先輩がデッドボールされて指ケガして投げれなくなったから、そこから新田先輩が出てきたんだけど、その新田先輩も三回にライナーが足に当たってな。今交代したところだよ……」

　そう。三回裏来栖高校、２ー０で勝っているものの、大ピンチである。