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晋はサウスポーのサイドスロー。コーナーを上手く使って投げる投手だ。
珍しい投手ではあるけど……どこまで一年生のピッチングが通用するか。しかも相手は準決勝も二ケタ得点で勝ち抜いてきている、今大会屈指の強打のチーム。
……正直、不安でたまらない。
投球練習をしている晋を見てみると、アイツは終始平然とした顔で投げている。……信じられない。俺なら重圧で今にも逃げ出しそうになるだろう。正直、こんな時に投げたいと思わない。
その点アイツは、胆が座っているというか……――まぁだからベンチに入ってるんだろうけどな。
「プレイ!!!」
審判が再開を告げる。さぁ、第一球だ。
晋が右足を上げて腕を振る。――いつもよりフォームが大きい。
バシィィィンッ!!
「ストライックッ!!」
初球、内角真ん中ストレート。球速は――135km。
「ん? アイツ最速131km位じゃなかったか?」
捕手の一哉が言った。
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