あの日あの時あの瞬間

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  カキーン!!! 「よっしゃあ!!! 打ったぜぇ!!!」  再び歓声があがる。八回裏、来栖高校の攻撃。先頭八番の谷先輩がヒットで出塁。追加点のチャンス。  次の打者は――晋。ここは順当に送りバントだろう。晋は打撃は下手だし、なんせ九回のピッチングに専念して欲しい。  こんな所で足とかを捻られても困るし。……このチームにはもう晋しか投手はいないんだから。 「お願いします」  晋が一礼して右打席に入る。そして、やはりバントの構えだ。これを決めれば、次は一番に回る。ぜひとも一球目から決めて欲しい所だ。  振りかぶった相手の投手を見ると、表情はやはり硬い。緊張しているのだろう。もしこの回得点されたら、逆転はさらに厳し―――― ワァッ……! 「デッドボール!!!」  観客の声――悲鳴、驚嘆の声が聞こえた、と思ったら右打席では晋が倒れ込んでいた――左腕をおさえて。
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