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「ひょんはこのままでいいんですか?」
「………いいわけない」
「じゃあ、何とかしないと」
「…だって、ジェジュンひょんが……」
「ユノひょんとジェジュンひょんは、…多分何もないですよ」
何かあったら僕が困る。
「…そ、なの?」
「ええ、見た感じ」
「でも、」
「ほっといたらどうなるかは分かりませんが」
ちょっと意地悪を言ってみる。
――すると、
「それは困る」
きっぱりヒョンは本音を言った。
そして呟く。
「チャンミン……俺。頑張ってみようかな……」
「ええ」
それがいいです。
「振られたら慰めてくれる?」
「いやです」
「……けち」
ぷぅっと頬を膨らませるユチョニひょん。
その時、玄関先で、微かに物音がした。
多分ユノひょんが帰ってきた音。
恐らく慌てて飛び出したものの冷静になったころ、ユチョンを置き去りにしたことに気づいたんだろう。
で、後悔の念に駆られて飛んで帰ってきた。
きっとそんな感じ。
「ほら、ひょん。迎えにでたらどうですか?」
僕は言った。
「おう!!」
勇ましいかけ声と共にユチョニひょんが立ち上がる。
そして呆気に取られる僕をそのままに、だだだた…と駆けていった。
僕は再度ため息をついた。
今度は、呆れたのではなく微笑ましくて。
そして思った。
あの調子なら多分また、結局いつもの調子に縺れ込むだけかも。
ぐわっと全身を広げジャンピングハグをかますユチョン。
で、慌てふためくユノひょん。
その場にいなくても全部分かっちゃうのが可笑しい。
「わわわ…ユチョン!? なんだ!?」
「ヒョン、俺、ほっぽりだして、どこ行ってたのさ~」
「いや…ちょっと…」
「わっ、なにそれ?」
「やっ、ユチョンが好きかなと思って買ってきた」
「ひょん、好き~!!」
ほらね。
いつもと変わらない会話が聞こえてくる。
進展のしなさそうなやり取りを聞いて僕は笑いを噛み殺した。
この調子なら結びつくのもまだまだ先かもしれないな……、と思った。
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