第十四章

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「私、用事ができたので…」 「用事?」 本当はないけれど。 ひとりで考える時間が欲しい。 「そっか。…残念」 「ごめんなさい…。じゃあ」 歩き出そうとして、腕を掴まれた。 「…あの。俺、多分北川さんの味方なんで」 「…多分?」 「うん。金とかで動くかもしれないけど」 けらけら笑って、私に元気を分けてくれる。 「じゃあね、北川さん」 「さようなら」 彼は不思議だ。 マイペースなのに、いつの間にか相手のペースに入り込んでいる。
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