第十四章

17/18
前へ
/261ページ
次へ
姉弟だからだろうか。 リツカと伸一には似通った引力がある。 人を引き付けて、でも決して密着はしない。 まるで、磁石のようだ。 デパートの外は、やはり人は疎らで、寂しい風が吹いている。 春だというのに心なしか肌寒い。 ケータイはもう鳴らない。 今日はもう電話は来ないと思う。 明日の放課後、三人で話す。 亜希はどう出るだろう。 現時点で私はリツカの恋人で、亜希は過去の恋人。 でも亜希は、まるで自分が恋人だとでも言うように振る舞う。
/261ページ

最初のコメントを投稿しよう!

795人が本棚に入れています
本棚に追加