第十五章

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校門を出ても、私たちは一言も会話をしなかった。 酸素はそこかしこにあるはずなのに、息が上手く吸えない。 自分の身体全部が心臓になったみたいに鼓動が響く。 沈黙は嫌だ。 目眩がするほど静かな二人に、町の喧騒が聞こえはじめる。 駅の方から歩いてくる学生たちが、私たちを見てこそこそと話す。 感じが悪い。 「…あ、ここか」 「え?」 リツカが立ち止まったのは花見屋という喫茶店の入口だった。 「ここですか?」 「うん。花見屋って言ってたから、ここだと思う」
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