第十五章

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隣で響くリツカの低い声に、ぴりりと場が凍る。 「ルカに、余計なこと言ったみたいだけど…」 「余計なことなんて言ったつもりないけど?」 「自分の妄想で話を進めるな。私たちはもう切れてる」 「そうかなぁ?」 冷たい空気に、亜希の高い声が浮いて聞こえる。 「まだ切れてないと思ってたけど」 「何年も連絡よこさずに、記憶だってなかった。切れてないわけない」 「…ねえ、ルカちゃんはどう思う?」 亜希が初めて笑顔を崩した。 いつもの幸せそうな笑顔じゃない。 悪い、黒い笑顔。
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