バカとクリスマス

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「柚、私達は今、勉強してるんです。邪魔しないで下さい」 「別にいいんじゃね委員長?漆黒に紅蓮は?」と二人の意見を聞いてみると鈴村は「いいぜ」と、西原は「HMじゃなくて名前で呼んで下さい。それに、いいですよ」と、俺に対する注意は入ったが、西原も了承してくれた。 「やっぱ、優にぃ…私と離れたくないんでしょ?」 そうだな。俺とオマエが思ってる中身はまるっきり違うと思うぞ。俺は、オマエが残ってくれれば脱線が多くて勉強がはかどらなくて済むから、残らしたまでだ。オマエは違うだろ、柚? 「まっ、あんま邪魔すんなよ。みんなは真面目に勉強してんだからさ…」 「優にぃは真面目にしなくていいの?」 「俺は……何事も真面目にやれないんだ。ちょっと昔、色々あってな。リストラ…いや、トラウマになっちまった」 本人は、いつものやる気ない口調で言ったつもりだが、そのトーンや口調はどこか寂しげで、それが嘘ではないと物語ってしまった。 皆、できれば嘘であって欲しいと願った。それは、優太自身が一番願っているコトである。 だが、どんなに過去を後悔しようが過去をやり直せない。過去は過去なのだから。 「まあ、ここにいるみんなのお陰で幾分マシにはなったかな?…で。委員長ここ何っスか?」 「えっ、あっ、はい」
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