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「「「「「かんぱ~い!!」」」」」と、全員でコップを高く掲げ合掌する。
テーブルにはポテトサラダだのカーネル・サンダースさんのフライドチキンだのが、美味しそうに並んでいる。
楽しい雰囲気なのだが、姫子の俺と柚を冷たい目で見てきているような気がするし、鈴村に西原は姫子の機嫌の悪さを分かっていそうな気がするんだが教えてくれそうも無いし、前途多難だな。
夜のコトも考えて、食べるすぎると眠くなるので俺はあまりに食事に手を伸ばさなかった様子を見てか、過保護な姫子が俺に近寄ってきた。
「あの優太さん?何か、お口に合いませんでしたか?」
「大丈夫っス。俺が嫌いなのは茄子ですし、それ以外なら何でもみたいなとこあります。ただ、夜のゲームのコト考えて食べてないんっス」
「そうだよ、お姉ちゃん。そういうトコうざいんだよ」
隣にべったりくっついている柚に向かって俺は軽くゲンコツをした。柚は「いたッ…」と小さな悲鳴をあげる。
「言いすぎ……姫子は善意で言ってくれてるんだ。謝りなさい、柚」
親戚の小さな子供を扱うような言い方で優しく言う。柚は渋々だが、姫子にしっかりと頭を下げて謝った。
すぐさま柚に袖を引っ張られ、暖かいリビングから寒い廊下に連れて行かれた。
「優にぃ、嫌いになった?」
「…………ん~、なったかもな?」
「えっ?」と、素っ頓狂な声をあげる。柚は笑顔を崩さないようにしているが、すでにボロボロの笑顔になっている。柚はパーカーのフードを被る。
「いや俺じゃなくてオマエの姉ちゃん、姫子だよ。俺は、そんぐらいで人は嫌いになんないし、俺を好きと思っていてくれる人には正しく生きてもらいたいから、少々きつい言葉になっちまうもんなんだ……ふー、喋り疲れた」
柚はパーカーをはずして、俺の腕に抱き着いてきた。俺はそのままリビングに戻った。
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