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柚に目的地を知らされぬまま、俺は柚と手を繋いで、活気溢れまくりすぎて少しウザいと思うぐらいの街中を歩いて行っている。
「ねぇねぇ、優にぃはどういうのがイイの?」
「何が?」と即答した。
柚はしどろもどろに「柄が付いてヤツとか?キャラクターのヤツとか?大人っぽいのとか?」と、俺の目を見ずに言った。
追求するのは止めとこう。嫌なコトを追求されるのは誰だって嫌なはず……。
「似合うヤツかな?不安なら、俺も選んでやるか……?」
「じゃあ、お願いしていいかな……」
ふ~ん。最近のアクセサリーには色んな種類があるんだな。もう少し時代に……って、俺はジジイか…。
歩いていると姫子達らしき人を見たのだが、この人混みだから俺の見間違いの可能性もあったので黙るコトに決めた。
「ねぇ、優にぃ?」
「んっ、どうした柚?何か映画館に忘れたのか?」
「うんん。お姉ちゃんに嘘ついて来たから、もし、お姉ちゃん見かけたら言ってね」
笑いまじりに「まっ、居ないと思うけどね」と、柚は自分でも冗談と思いながら言う。
俺は冷や汗止まらない。冬だというのに背中には不快な汗が溜まり、背中から腰にかけて流れる感じがする。
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