バカとクリスマス

2/29
前へ
/74ページ
次へ
12月中旬。俺、天道優太は自室で来週のテストに向けて勉強していた。 一人でしてる分には構わないのだが、学園のアイドルであり我がクラスの委員長で生徒会もソツなくこなす篠崎姫子さんと勉強をしている。 いや、勉強をしているとは少し違う。正確にはバカなので勉強を教えて貰っている。 「天道くん。そこ、間違ってますよ。レ点なんですから、下から読むんですよ」 「レ、レ点ねぇ……」 勉強を教えて貰っているのは嬉しいのだが、俺はバカのまんまでケッコーなので赤点回避出来ればいいのであるが、委員長は自分のクラスにバカがいるのが許せないらしく、今の状況になっている。 テスト前に勉強を教えて貰っているコトは、これで三回目である。俺にとっては余計なお世話。勉強は前日にやればいいコトで、それまではゲームやマンガで充実した日を過ごしたい。 ゲームやりてぇ…。早く、クリアしたい。オンラインゲームの戦友『漆黒の貴公子』さんと『紅蓮の一刀』さんが待っているのに。 ちなみに俺は『白銀の翼』である。オンラインゲームやネットゲームじゃ、ちと有名であったりする。 俺は、目の前の勉強から目を背け、これからのシミュレーションに徹した。ペンの動きはピタリと止んでいた。
/74ページ

最初のコメントを投稿しよう!

77人が本棚に入れています
本棚に追加