《voice only-Date:20631225》

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‡ 砕かれた硝子の破片が粉となって舞い落ちるように煌びやかで 逆転された世界の摂理(ルール)を覆い隠すようにしっとりと そして燻る焦げ付きを焼き尽くすように猛烈に その時、輝く緑白色(エメラルドグリーン)の光だけが、色を持ってこの世界の物語。その序幕の終焉を祝福していた。 それは記憶。 砕け散ったのは魂の源。ならばその輝きが示すのは解放の喜びか、それとも惜別の悲しみか。 少なくともその当時の僕が抱いていたのは喜びでもなければ悲しみでもなかった。 無力への殺意と、計り知れない程の喪失感。そしてもはやどうしようもできない、後悔だけだった。 いつまでも続くと思っていた平凡な毎日。でもそれはた`ま`た`ま`僕が平和な世界にいたと言うだけで、世`界`が`平和だと言うことではなかった筈だ。 均衡。それこそが世界なのだから。 そう 表があるから裏があるように。 善があるから悪があるように。 生があるから死があるように。 いや、より的確に言うのなら 表があるのだから、裏という概念が存在できるように 良いことがあるのだから、悪いことを認識できるように。 死という『終わり』が既に決められているから、今生きているのだということを実感できるように そして、好きという想いがあるからこそ、嫌いだという感情も生まれるように。 とか。
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