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「あ、あった!!」
携帯がおいてあったのは
以外にも近くのベッドの下だった。
何でこんなとこにあるんだろう。
その携帯は
外見が黒だから…
多分男の人のもの。
「あったん?」
「ん。出てみるね」
「えっ、出んの?」
驚く亮をよそに
私は携帯の通話ボタンを押した。
「はいっ、もしもし?」
『‥あ‥どちらさんですか?』
「私、野村亜美っていいます!」
『あ、そうすか。それ、僕の携帯なんやけど‥』
「知ってます!ここ、ホテルですよ?」
『うん、やっぱホテルに忘れてきたんや‥。絶対あの子が隠したんやん…』
電話の向こうで
何やらその人はボソボソ言ってる。
「…?あのー」
『あ、すいません。じゃあその携帯…』
「私が持っておきますよ!」
『え?』
「だって今から1人でホテルに入るのも恥ずかしいでしょ??お名前なんていうんですか?」
『あぁ、僕大倉。大倉、忠義』
「おーくら‥さん?」
『おん。でも持っててもらうなんて悪いし』
「大丈夫です!私の連絡先教えますから、ね?」
『はぁ…』
そして私は無理矢理に大倉さんに自分の番号とアドレスを教えた。
今でも
何で自分はこんなことしたんだろうって思う。
ただ私が
キミの入ったホテルに偶然入って
偶然同じ部屋で
キミの携帯を見つけて。
しかもそれだけで
会えるかさえ分からなかったのに。
でも
キミの声を聞いた瞬間
会いたくなったの。
ただ直感的に。
理由なんてなかったけど
ただ
キミに会いたくなった。
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