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「別に構わんよ。菊の花なんて。それに君はそこに居た彼の奥さんだろ?飾ってやりなさい」 「蓮本さん!」 私は何て事を言うのだろう。と思いながら高齢の男性の名前を少し強く呼びました。 たとえ蓮本さんが良くても他に二人の患者がいるのです。そんな軽率なことはできません。 「そんなに怒らんでも……。桜田さんも、百合川さんも別にいいじゃろ?」 蓮本さんは他の二人に同意を求めたのでした。 すると他の二人も蓮本さんに同意したのでした。 「別にいいですよ。僕に供られた訳じゃないですしね」 愛想もなく、本を読みながら言ったのは桜田さん。 「俺も別にいいよ。あのにいちゃんいい奴だったしな」 少し目を赤らませながら、しみじみと言ったのは百合川さん。 それでも私は菊の花を置くのは嫌でした。看護師長に知れたら……そう思うと憂鬱でありませんでした。 「お願いします」 彼女は深々と頭を下げました。 「俺からもお願いするよ」「椿ちゃん頼むよ」 百合川さん、蓮本さんからも頼まれました。 これではまるで私が悪役……。 「もう、わかりました」 私は完全に折れました。私の敗けです。
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