7人が本棚に入れています
本棚に追加
月が出ていた。
空いっぱいに広がった濃紺のカーテンをそこだけ丸く切り取ったように、ぼんやりと浮かんでいる。
星は見えない。
この世界の空はあまりにも汚れすぎていて、小さな星々の光など、地上に届くより前にかき消えてしまうのだから。
人々は本物の星を忘れた。
地上を追われた人々は地下に逃げ込み、そこで見つけた宝石や鉱石の輝きを星になぞらえた。
石に力を込めて使うは星の魔法。
星の魔法は希望も絶望も与える。
これは、そんな星の魔法を使う一人の少年のお話――
最初のコメントを投稿しよう!