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◇
『――え~、間もなく~、光ヶ丘前~、光ヶ丘前~。お降りの方はお知らせくださ~い』
間延びした車掌さんの呼び声に僕は目を覚ました。
危ない、危ない。
あまりに乗車時間が長かったものだから、うっかり寝ちゃってた。
土地勘の無い場所でバスを乗り越すなんてのはごめんだよ。
それにバスを一本逃すと、次のバスが来るまでに三時間も待たなくちゃいけないからね。
――と言うことで。
「ほあっ、はいはいっ。降ります降りますー」
僕の新生活を迎える土地への第一歩は、ギリギリセーフで無事に地を踏む事ができたみたいだ。
◇
「えーと、確か〝青空学園〟はここから徒歩五分の所に……」
バスが発車した後、僕は地図を片手に当たりを見渡してみるけど……。
目的地の青空学園の校舎どころか、この当たり一帯には建物が何一つ無かった。
そこで改めてこの付近を地図と照らし合わせながら確認する。
まずは、僕が立っている目の前にバスの停留所。
そして僕を背に、大きな日時計があるようだ。
振り返って確認すると、僕の身長の二倍はある大きな指針。
その上には、腰下まである綺麗な赤髪の女の人が立って――。
「……えっ?」
「ん?」
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