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  先輩が妙な噂を立てられているらしい。 あの日、先輩の友人だというその人から教えられた。 その噂の内容というのが 先輩がホモで、俺とデキているかもしれないという事らしい。 どうして突然そんな噂が立ったのか謎だけど (馬鹿馬鹿しい。) 俺なら兎も角、先輩がホモな筈無いのに。 先輩が俺とのモデルの契約を切ったのも 先輩と一緒に居て、誰かに顔を覚えられたら 俺にもホモの疑いがかかってしまうからだと、そう教えてくれた。 先輩が俺を心配してくれているという事が、素直に嬉しかった。 疎まれている訳じゃないと分かって安堵した。 (俺って現金だ) このまま先輩と接点が無くなってしまうのは嫌だ。 少しくらい迷惑に思われても、時々部室に遊びに行く位なら許されるだろうか。 モデルを辞めてから、バイトのシフトも増やしてしまったし、そんなにしょっちゅうは無理だけど。 先輩に色々言いたい事もあるし。 何より、会いたい。 顔が見たい。 会って、前みたいにどうでもいい、くだらない話がしたい。 (今日は先輩に会いに行こう) 俺がそう、一人決意をしていたら 「染谷君」 クラスの女子から声が掛かる。 「ちょっと、時間もらっても良いかな?」 「え、何?」 「ちょっと聞きたい事があるから…志野さんの事で」 志野さん…。 (先輩だ) 噂の事だろうか。 「先輩がどうしたの?」 「ちょっと待って、此処じゃちょっと…。場所を変えない?」  
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