3人が本棚に入れています
本棚に追加
ん…?
「今気付いたけど…僕の顔……見えてない…?」
「………」
少女は目を伏せた
「見えてないか…そうだよな…」
真夜はガッカリした半面、何故か少しホッとした
「記憶が無いのかぁ…気付いたらここにいた…みたいな感じ?」
「………」
少し顔が縦に動きかける、
なるほど…なかなかコミュニケーションを取るのに苦労しそうだな…
何か嫌な過去でもあったのだろうか…
「じゃあ…自分の名前とかも解らなかったり?」
「な………まえ…」
少女は目を横に少しずらした…
(あなたは死の先を・・・・する者なんだよ)
少女の朧げ(おぼろげ)な記憶の淵に、ある言葉が蘇った
誰からの言葉なのか、何の言葉かは思い出せない
自分でも何故思い出したのかも解らない
「死の…さき…」
「え…?篠崎…さん?篠崎さんって言うの?」
「………」
少女の目線は再び下に移る
「篠崎さん……でいいのかな…?」
「しのさき…」
「そう…しのさき…」
真夜は少女の目を見つめる
少女はまた少し顔を縦に動かした
「え…えーと………じゃあ篠崎さんって呼ばせてもらうね?」
「……」
「えー…篠崎って明らかに苗字だよな…じゃ、じゃあさ!下の方の名前は…………解らないよね?」
「………」
少女は少し目線を下げた
「解らないか…じゃあ…俺が代わりに名前をつけていい?」
「……?」
少女は不思議そうな顔で正面を見つめる
「あはは!いやぁ!あの…本当の名前を思い出すまで…何て言うか…あだ名?みたいな感じ?」
「あだ名…」
「うん…、仮の名前…みたいな感じだよ」
「…………うん」
初めてちゃんと頷いてくれた!
真夜は少し感激した
「解った!真剣に考えるからちょっと待っててね!」
「………」
真夜は必死で名前を考える…
「未歩(みほ)って…どうかな…?」
「………」
「君には過去が無いだろ?だからこれからの未来を忘れずにしっかりと歩んで行く、と言う願いと言うか…何か…思いを込めて…って考えたんだけど…」
「しのさき…みほ…」
「そう!篠崎未歩!どうかな?」
「しのさき…みほ……私の…名前」
最初のコメントを投稿しよう!