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「そう!君の名前!」
「…………」
少女は黙り込んでいるが、怒ってはいないようだ……と…そんな気がした
「よろしく」
真夜が握手を求めようと、手を伸ばした
「あ…!」
未歩は手が目の前まで来た瞬間、身体がピクリと反応した
「え?ごめん!、俺何かした?」
真夜は慌てて手を引っ込める
「あ…!」
未歩はまた、小さく反応をした
「ごめん………嫌だった…?」
「手……私と一緒……」
未歩は自分の手を見つめながら言った
ん…?…窓越しに手を差し延べたら、手だけが見えた?…って事は…本当に窓から向こうは見えてないんだ…
もしかして…人間見るのって…初めて?
真夜はもう一度手を差し延べてみる
腕が屋敷の中に入り込んだ瞬間に、未歩の目線が正面から真夜の腕へと移る
なるほど…屋敷の中に入れば未歩の視界に入るシステムみたいだな…よくわからないけど…
じゃあ鳥がここに入り込んだとしたら…その時に見ていれば鳥の存在を知っているのも頷ける
「え?」
真夜がそう考えていると、右の手の平に何か温かい感触がした
見ると、未歩が真夜の伸びた右手を握っていた
真夜に緊張が走る
「よ、よろしくね!」
思わず声が裏返ってしまい、さらに緊張してしまった
「…………」
未歩は真夜の右腕を掴んだまま、じっと真夜の腕を見ている
次第に緊張で真夜の右手に手汗が出始め、それに気付いた真夜は、ばれないうちに手を引っ込めた
「あ…」
手を引っ込めると同時に未歩が少し残念そうな顔をした
「じゃ…じゃあまた来るよ!」
緊張のあまり、真夜はズボンで右手の汗を拭きながら走って逃げた
「ハァ…ハァ…ハァ…」
屋敷が見えなくなるまで夢中で走った真夜は、途中で立ち止まり、呼吸を整える
「さ…触った……」
真夜はまじまじと自分の右手を見つめる
未だに震えが止まらない
緊張のあまり、つい走って逃げ出してしまった
「失敗したなぁ……つい逃げちゃった…」
肩を落とした真夜は足取りも重く、帰路に着く、途中で未歩の顔を思い浮かべては深く溜息をついていた
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