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笑った!……
真夜は天にも昇る気持ちになった
「必ず持ってくるよ!図鑑!」
「……うん…」
よし!脈ありだ!
「あ!あの…良かったらこれ食べて」
真夜が鞄から取り出したのは、今朝のおにぎりだった
三つあるうちの一つを取り出すと、未歩に差し出した
差し出した瞬間、目線が伸びた腕へと移る
未歩は、そっとおにぎりを手に取ると、それをじっと見つめ始めた
「みさか…ゆうこ…」
「え?」
なんで未歩が僕の母さんの名前を知っているんだ!?
未歩は、じっとおにぎりだけを見つめている
真夜も鞄のおにぎりを手に取って見てみた
「名前が書いてある…」
おにぎりに包んであるラップに、黒いマジックで「みさかまや」と書かれている
もう一つのおにぎりを見ると、「みさかたくや」と書かれている
御坂拓矢(みさかたくや)は、真夜の父親である
どうりで三つもあるわけだ、おかしいと思ったんだよな
真夜は朝食をあまり沢山食べる事ができない、なので三つもあるのはおかしいと少し思っていた
まさか全員分のおにぎりを包むなんて…どんなドジの踏み方なんだよ
真夜は心の中で溜息を吐く
「御坂優子って言うのは、僕の母親だよ」
「ははおや…」
その言葉を口にした瞬間、突然未歩の身体がピクリと動いた
「ど、どうしたの!?」
真夜の問い掛けに未歩は答えない
[お前はお母さんに似て非常に強い死神だなぁ、俺なんかすぐに抜かれそうだよ]
[そうだ!人間の魂を喰らってごらんよ!そうすればお母さんの強さに近づけるぞ?]
[あなた!人の魂を食べたの!?なんて事を……死神が人の魂を喰らうと、中毒になって次々と喰らわずにはいられなくなるのよ!]
[死神は浮かばれなくなったり、不運な死を遂げた人間を霊界まで案内する、ただの案内人なんだよ]
[あなたはもう正気ではありません、我が母親として……私はあなたを止めます!]
[母親の魂を殺した気分はどうだい?これでお前も堕ちた死神だ!神界に行く権利は俺がもらう!]
[あなたの記憶を抹消し、下界に封印します!]
未歩の頭の中で色々な言葉が交差する
私は人の皮を被った死神……
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