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その日は綺麗な満月の夜だった…
「あなた……今日も人間を食べたのね…」
長い黒髪で緑色の服を着た女性がボソリと話し掛ける…灰色のマントが微かに揺れる
「食べたわよ?それが何?」
灰色の髪をした紫色のフリルの付いた服を着た少女は平然と答えた
「もうこんな事はやめなさい…」
「断る、あなたみたいにただ人間が死ぬのを待ってるなんて御免だわ」
少女は食ってかかった
「死神は人間の死後に浮遊霊にならないように、正しい道へと導く為の案内人なのよ?魂を喰らう存在ではありません…」
緑色の服を着た女性は顔を上げる、燃えるような赤い瞳をしていた
「あなたはバンシーで私はデュラハンなの、あなたと私は違うのよ、ゴチャゴチャ言うならあなたも殺すわよ」
そう言うとデュラハンと名乗る女性は、左手で自分の灰色の髪を鷲掴みにすると、勢いよく首を引きちぎった
ビシュゥゥゥゥ!!
首と胴が離れた瞬間、真っ赤な鮮血が辺りに飛び散る、しかしデュラハンの顔は笑っていた
青い瞳が笑みで細くなる
「私は死神なので死にません、姉の命令です、もう人の魂を刈り取るのはやめなさい 」
バンシーは、飛び散る鮮血に眉一つ動かす事は無く、強く言い放った
「死なないなら魂を刈り取るまでよ、抜け殻になったあなたを見るのも一興ね」
デュラハンは頭を左の脇に抱えたまま喋る
デュラハンは右手を喉元に当てると、そのまま勢いよく右手を突っ込み、胸の辺りまで滑り込ませる、
やがて何かを掴むと、今度はゆっくりと引き抜く、血まみれの右腕が握っていたのは、血まみれの剣だった
「私の城から今すぐ出ていくのなら許してやる、出て行かないのなら今すぐここでお前の魂を一突きにするぞ!」
デュラハンは剣先をバンシーに向けた
「やはり…無駄なようですね…」
バンシーの目から一筋の赤い涙が零れ落ちる、涙が床に落ちた瞬間、床から無数の手が伸び、デュラハンの足を掴んだ
「小賢しい」
デュラハンは剣で足元を払った、無数の手は瞬く間に切り裂かれ、消え去った
「甘いわよ…」
バンシーは灰色のマントをデュラハンにかける、するとマントはデュラハンの上半身を締め上げた
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