デュラハン

3/12
前へ
/15ページ
次へ
「ふふふ…」 さっきの感動を思い起こすと胸が高鳴る ニコニコ顔のまま真夜は自分の席に着いた 「御坂、何でそんなにうれしそうなんだ?良いもんでも見たか?」 「稲葉か」 話し掛けてきたのは真夜の友達である稲葉将平(いなばしょうへい)だった 将平の辺りにはカツオ節の良い匂いが漂っていた 将平の手にはタコ焼きが入ったパックが握られている 「またあの屋台のタコ焼きかよ…お前も好きだな」 真夜は頬杖をつきながら将平の持つタコ焼きを見つめた 「タコ焼きこそ最高の食べ物じゃないか!食わないと人生損するぞ!一個たべる~?」 将平はタコ焼きを一つ爪楊枝で刺すと、半ば強引に手渡した 「そこまで言うんかい…タコ焼き食べたら身長伸びるか?」 真夜は渡されたタコ焼きを食べる、うん…いつもの味… 「身長の事は言うなってば!俺はこれから伸びるんだよ!…もう高二だけど…」 美味いは美味いが…毎日食べてて飽きないのだろうか…? 真夜は将平の声に和えて耳を傾けなかった 「そう言えば…良いもんって…またあの可愛い女の子か?」 将平はタコ焼きを口に入れながら聞いてみた 「まぁな…今日は雨の日なのに見れたんだよ」 「ふーん」 真夜は嬉しそうに答えたが、将平は興味なさ気に自分の茶色の髪の毛をかき上げている 「家に入り込んで話しちゃえば?」 将平は大胆な事を言い出した 「え?それは無理だよ!」 真夜は慌てて将平の案を却下する 「いいじゃん、好きなんだろ?毎日窓際に立ってるんだったら向こうからやってくる事はねぇよ、お前から行くべきだ」 真夜は急に落ち着きがなくなり、考え込み始めた 「どうしよう…行ってみようかな…」 「話しだけでもしてみろよ、案外話せる人かもしれないぜ?」 将平はそう言いながらタコ焼きを食べ終えると、プラスチックのパックをクシャクシャに丸めてごみ箱に捨て、そのまま自分の席へと戻って行った 「話だけでも………かぁ……」 一か八か賭けてみよう…! 真夜はそう決心した、その時 「おはよう、真夜君」 真夜の後ろからやんわりとした優しい声が届いた
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加