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「ふふふ…」
さっきの感動を思い起こすと胸が高鳴る
ニコニコ顔のまま真夜は自分の席に着いた
「御坂、何でそんなにうれしそうなんだ?良いもんでも見たか?」
「稲葉か」
話し掛けてきたのは真夜の友達である稲葉将平(いなばしょうへい)だった
将平の辺りにはカツオ節の良い匂いが漂っていた
将平の手にはタコ焼きが入ったパックが握られている
「またあの屋台のタコ焼きかよ…お前も好きだな」
真夜は頬杖をつきながら将平の持つタコ焼きを見つめた
「タコ焼きこそ最高の食べ物じゃないか!食わないと人生損するぞ!一個たべる~?」
将平はタコ焼きを一つ爪楊枝で刺すと、半ば強引に手渡した
「そこまで言うんかい…タコ焼き食べたら身長伸びるか?」
真夜は渡されたタコ焼きを食べる、うん…いつもの味…
「身長の事は言うなってば!俺はこれから伸びるんだよ!…もう高二だけど…」
美味いは美味いが…毎日食べてて飽きないのだろうか…?
真夜は将平の声に和えて耳を傾けなかった
「そう言えば…良いもんって…またあの可愛い女の子か?」
将平はタコ焼きを口に入れながら聞いてみた
「まぁな…今日は雨の日なのに見れたんだよ」
「ふーん」
真夜は嬉しそうに答えたが、将平は興味なさ気に自分の茶色の髪の毛をかき上げている
「家に入り込んで話しちゃえば?」
将平は大胆な事を言い出した
「え?それは無理だよ!」
真夜は慌てて将平の案を却下する
「いいじゃん、好きなんだろ?毎日窓際に立ってるんだったら向こうからやってくる事はねぇよ、お前から行くべきだ」
真夜は急に落ち着きがなくなり、考え込み始めた
「どうしよう…行ってみようかな…」
「話しだけでもしてみろよ、案外話せる人かもしれないぜ?」
将平はそう言いながらタコ焼きを食べ終えると、プラスチックのパックをクシャクシャに丸めてごみ箱に捨て、そのまま自分の席へと戻って行った
「話だけでも………かぁ……」
一か八か賭けてみよう…!
真夜はそう決心した、その時
「おはよう、真夜君」
真夜の後ろからやんわりとした優しい声が届いた
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