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つまらない…
何故こんなにも俺の人生はつまらないんだ…
ただ起きて、授業を受けるフリをして、飯を食べ、帰って寝る
つまらなさ過ぎる
あの女の子の屋敷が通学路に無かったら今頃学校すら行ってないかもしれない
そんな大袈裟な事を考えていた
とりあえず一日が無難に過ぎ去ればいいや…
そして何の気も無く今日の授業が終わった…
急いで帰ると下駄箱が混み合うので真夜はゆっくりと帰る仕度をする
「真夜くん…」
帰ろうと鞄に教科書を詰めていると、雛子が話し掛けてきた
手には真夜のタオルが握られている
「タオル…ありがとう…洗って明日返すね」
以前もこんな事があったな…あの時も雨の日だったか…
あの時は「洗わなくていいよ」と言った記憶がある
その時の雛子は罪悪感いっぱい…と言うような顔をしていた気がする
「おぅ、わかった、じゃあお願いします」
真夜は作り笑顔を浮かべて喋る
「うん!本当にありがとう!」
雛子はそう言うと真夜に微笑みかけ、嬉しそうに教室を後にした
なるほど…こう言えば良かったのか…
真夜は再び鞄に教科書を詰め、全て詰め終えると、立ち上がった
「雨…やんでないな…」
流石に帰りは見れないかな…
そう思い…窓を見ていると、一人の学生が校門を出ようとしている
「あれ?藤好さんじゃないか?」
傘をさしているが、格好はジャージ姿である
今出て行ったし、藤好さんに間違いない
「なんで傘持ってるんだろう?あぁ……置き傘かな?でも折りたたみ傘を置き傘にするか?」
真夜は少し疑問に感じたが、あまり深くは考えなかった
真夜は教室を出て学校を後にし、朝来た道を戻る
いつもの屋敷に到着した真夜は
「いますように!」
と、僅かな願いを込める
「いるじゃん!」
少女は窓際に立っていた、絶対いないと思った真夜は目を見開いた
傘を持つ手がブルブルと震え出す
「話し掛けてみよう…」
真夜は屋敷の入口の取っ手に手をかけた
ギィィィィィ…
「開いた…よし…」
真夜は敷地内に足を踏み入れる、少し躊躇った(ためらった)が一足踏み入れた瞬間から、躊躇いは無くなった
ズンズンと窓際に近づいて行く
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