デュラハン

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ついに目と鼻の先にまで近付いた、 真夜の鼓動が大きくなり、身体中に響く しかし、確実に真夜は少女の視界に入っているはずなのに、少女は遠くを見つめたまま動かない 何故だろう…不審に思わないのだろうか 真夜はしばらく見詰めていたが、やはり表情は変わらない 話し掛けてみよう! 落ち着きかけていた鼓動がまた大きくなる 落ち着け…冷静になれ… 少し…少し話せればそれでいい 「あの……」 真夜が声をかけた瞬間、少女の顔がぴくりと動いた 「誰…」 「あの…えっと!あの…」 喋る内容を予めシュミレートしていた真夜だが、 少女が急に喋った為、全て吹き飛んでしまった 「誰…」 少女は透き通るような綺麗な、しかし寂しそうな声で再び問い掛ける 「えっとぉ!ぼ…僕…御坂真夜って言います!その…いきなりでごめん!」 「まや…」 「はい!?な…何でしょうか」 真夜は緊張の余り…急に敬語になる 「…………」 少女は真夜の名前を呼んだまま、それ以降は何も喋らなかった 会話に困った真夜も黙り込んでしまう、 しばらく沈黙が流れるが、時と共に少しずつ気を落ち着けた真夜は、もう少し話し掛けてみる事にした 「ねぇ…君はどうしていつも外を見ているの?」 「外……見えない…」 「え?」 この子は目が見えないのか!? 「窓の外だけ…見えないの…」 「窓の外だけ…?」 どう言う事だ?家の中では目は見えるけど、外の景色は見えないってのか? よくわからないが、嘘をついている様子にも見えない 真夜は手を振ったりしてみたが、やっぱり反応は無かった 「じゃあ何でいつも窓際に立っているの?」 「…………鳥…」 「鳥…?」 真夜はつい空を見上げた、雨粒が顔にしとしとと降り注ぐだけだった 「鳥の声…聞いてるの…」 「鳥…?君は鳥は見えるの?」 真夜は顔に付いた雨水を服で拭き取りながら聞く 「………見えない……だけど……羽があって…くちばしがあるの…」 「見えないのに何故姿を知っているの?」 真夜には理解できない事だらけだ 「………わからない……ここにいる前の…記憶が無いの…」 「記憶が無い…」 記憶喪失なのかな…
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