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劉峰(りゅうほう)、字は美優(みゆう)。
先年、母と死に別れた16歳の少女は、父親であろう男の書き記した一通の書を手に劉備軍の陣へと向かって行った…。
「おい、お前」
「こんなとこで何をしているんだ?」
『劉備様に会わせて』
劉峰は見張り番に向かって単刀直入に切り出した
「何言ってんだ、お前みたいな素性の知れない、どこの女とも分からん奴に劉備様が会われるわけがないだろう」
「第一、ここには劉備様はおられん。ここには黄忠将軍と参謀の法正殿がおられるだけだぞ」
『じゃあ、黄忠将軍に会わせてちょうだい』
「…何回言っても、無理なものは無理だ!」
『じゃあ、力ずくでも通させてもらうからね』
見張り番は槍を突き出したものの、劉峰はその槍をつかんで見張り番を放り投げた。
ヒュバッ
「ひ、ひゃあー」
見張り番は一目散に逃げ出し、辺りは少しばかり騒ぎになってしまった。
「何じゃ何じゃ、騒々しい」
そう言って、たくましい髭をたくわえた老将が現れた。
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