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「飲むか?」
「あ、ありがとうございます」
「アチいですからなぁこの部屋は…」
注がれたコップに見える、緑だか茶色だか良く分からない液体にいまいち飲む意欲が沸かず…
「何ですかね、コレ…?」
「私が自宅から持って来たオリジナル飴ジュースだっ」
どうだ、と言わんばかりに春樹副会長は不敵な笑みを零す
その目には「飲まぬ事許さじ」という札でも貼ってあるようで、その威圧感に僕は覚悟を決め、
自身の乾いた喉にも手伝ってもらい、一気にその怪しげな飲み物を口内に流し込んだ
甘い…?いや、苦酸っぱい??
「毎日これ作って来てるんですかぁ?」
「良薬口に苦し!」
訳の分からない台詞を吐いて人差し指を立て、ニッと歯を見せ笑う姿が、お昼の校内TVで見せる春樹副会長の笑顔とリンクした
その顔を見て、何故だか先程流し入れた飲み物が体内で熱く反応した気がして、背中から妙な汗が滲み出てくるのを感じた
何だろ…鼓動が早いな、僕…
気分を落ち着かせるべく僕は黒斑の眼鏡をくぃと直す、
「やはり何か物事を生み出す作業をする時はねぇ、こう…
狭っ苦しい場所で肩寄せ合って、もがきながら作り上げていく方が、意外といい構想がポーンと練りあがる場合が多いんだよねー」
「そういうもんですかね…」
「まぁ凡人には理解し難い所業なのかなぁ言ってみたら…」
何だか自分が小馬鹿にされているようで、僕は咳払いを一つお見舞いし、
再び眼鏡の位置を直すと、持ってきたB5のノートを開き、シャーペンを手にした
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