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お昼過ぎに降り出した雨は、止む様子もなく、辺りが暗くなっても降り続いていた。
「雨、嫌いそう。」と言い続けられ早26年の俺だが、実は雨の日は嫌いじゃない。
女の子と、相合傘が出来る。
そんなチャンスの日を、嫌うなんてもったいないじゃないか。
そして今日も、相合傘をするべく、俺はお迎えに向かっていた。
「お迎え、来てくれる?」
休みを思い切り満喫していた俺にそんな電話が掛かってきたのは、夕方5時頃のこと。
掛けてきたのは、妹分のユウ。
天気予報を信じて、傘を持って行かなかったらしい。
電話が夕方になったのは、一応、雨が止むのを待ってみたんだろう。
2年前から一緒に生活しているユウは、俺を飽きさせず、寧ろ虜にしている。
小動物に例えられるのが得意なユウ。
コーヒーが無くなると、拗ねるユウ。
体育座りでソファーの上に丸まるユウ。
そんなユウが愛おしくて、俺は頬っぺたにキスをする。
恋人じゃないのに可笑しい?
体で会話してるだけだよ。
キスだって、口と口との会話だろう?
誰に何を言われても、今の生活を止めるつもりは更々無い。
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