すみれの砂糖漬け

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私は退屈な馬車の中で ため息をついていた。 これから行く ノークラント邸での 出来事が予想できたからだ。 仲の良い女友達 アデライド、ミリセント マリアナ、イーディス ミランダ達が ペチャクチャ喋り、 あの殿方の服は安物だとか 誰其が誰々と婚約しとか くだらないお喋りで時間が過ぎていく。 それでも私が行くのは ノークラント家の料理、 特にお菓子は格別に美味しいから お茶の砂糖やミルク、それにクリームも けちらないで たくさん出してくれるの ノークラント家では コックじゃなく フランスから来た シェフを雇っているんですって メインディッシュなんかは おソースが変な時があるけど デザートは本当に素晴らしいのよ そんなことを考えていたら もう馬車はノークラント邸の門を通過 あと10分くらいで 屋敷の玄関に着くわ 私は自分の姿が 美しく見えるか 小さな鏡で確認して ドレスのシワを伸ばした。
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