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桜散る4月……
どこか暖かな陽気が辺りを包んでおり、道行く人々は呑気な表情をしている。
そんな中、俺は全力疾走をしていた。
「退いてくれぇ!」
俺は手提げ鞄を肩に通し、人々に注意を促しながら走る。
遅刻直前だからね!
くそ! 昨日浮かれて友達とカラオケ巡りなんぞするんじゃなかった!
そんなマンガ見たいな状況を作ってしまっていることに嘆きつつも足を進める。
ただいまの時刻は8時。
確か自分のクラスに着席が8時10分。
さぁまずい! ほんとまずい!
このままじゃ遅刻確定に近い!!
時間がなかったせいで、俺の黒髪は無造作に跳ねたままだし、俺ってムダに鋭い目をしてるから……
下手すると不良っぽく見えるだろうなぁ。
友達できるか不安になってきた。
そうして走ること数分……
やっとたどり着いた。
アーチを描いた芸術性のある門。
東京紅葉学園(とうきょうこうようがくえん)の掘り文字。
門から直線上に伸びる道。
両脇にある桜並木はまるで入る人を出迎えているみたいだ。
だが、俺は景色を楽しむ余裕なんて無いのでオールスルー。
次に姿を見せたのはよくある一般的な高校校舎──を三倍にした建物。
天を突かんばかりに大きな研究塔。
なんだこの高校?
悪の組織か何かですか?
名門でもすごすぎるからね?
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