おいしいな

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「前鬼、ちょっと 行ってきてくれ。」 小角に お使いを頼まれ、前鬼は、朝の町に 出掛けていった。 まだ 朝飯を食ってなかった。腹が減ると心細い。でも何とか用を済ませ、とぼとぼと 帰り道を急いだ。 商店街である。お惣菜屋さんが並ぶ。ポケットを探った。50円玉が1つ。コロッケ80円。買えない。でも、いい においである。くんくん嗅いでいたら、おばさんが、 「おや、お兄さん。味見してみて。」 と、コロッケ1つ、手渡してくれた。 熱いのを ほうばる!うまい! 「ありがとうございます。」 と、頭を下げ、前鬼は、心も、お腹も くちくなり、口笛を吹きながら 帰途についた。 だから、人が好きなんだ。 そう思い直した、前鬼である。 とっつぱれ
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